振動人生記録 by gifdog97

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大学に入ってから買った楽器紹介その2

この記事はIS18er Advent Calender2017/12/21用に書きました.

 

なんかぼーっとしてたら3日ほど過ぎてしまいました.ISのみなさんすいません.今回もひたすら情報と関係ないことを書き連ねます.

 

今回は撥弦楽器の紹介です.撥弦,つまり弦を弾いて音を出すタイプの弦楽器です.大学に入ってからはチャランゴアコースティックギターを買いました.前者はアンデスの楽器なのであまり馴染みは無いかと思いますが,後者は知っている人も多いでしょう.

これらの楽器,前回紹介したケーナ・チェロとは違った大きな魅力があります.それは,いつでもどこでも永久に演奏できるという点です.というのも

ケーナ:管楽器は息を使うので疲れる,ずっとは吹けない

チェロ:デカいので持ち運び厳しい,椅子が無いと事実上弾けない

前回の二つの楽器にはこういった難点があるのに対し,チャランゴとギターは別に弾いてたところで大して疲れることもなく,持ち運びも楽ちん,すぐに取り出せる上,基本的にどんな態勢でも演奏できてしまうという恐ろしい楽器です.一度触り始めたが最後,永久に触ってしまい,授業には遅刻するわ気づいたら一晩明けているわ(今日もそう),まさに魔の楽器.特に自分は一時期チャランゴの魅力に憑りつかれた経験があり,チャランゴに触れないと動悸を起こすこともありました.

そんな泥沼的魅力溢れる魔剤たちを紹介していきたいと思います.…と思いましたが,今回はチャランゴだけ紹介して,ギターは次回に回します(いざ記事を書いてみると,チャランゴだけでまあまあな分量になってしまったため,泣く泣く分けることに.楽器紹介,Advent Calender内で完結出来なさそう.残念.).

 

チャランゴ

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こちらは前回もご紹介したアンデス民族音楽フォルクローレ」で使われる楽器です.小ぶりの弦楽器で,高めの音が鳴ります.写真は1本弦が切れているのですが,弦は全部で10本あり,2本1組が5つある,というイメージです.それぞれを「コース」と呼び,構えたときの下から順に第1コース,第2コース,…,第5コースと呼びます.調弦は第5コースから順に「ソ・ド・ミ・ラ・ミ」となっています.各コースに2つ弦が張られていると言いましたが,基本的に二つの弦は同じ音で,第3コースのミだけはオクターブ違う弦が張られています*1

同じ音の弦を二つ並べることを「複弦」と呼びますが,なぜチャランゴは複弦なのでしょうか?僕はとても不思議でした.一本にまとめちゃえばよくないでしょうか?この謎に関する話を聞いたことが無い上,ネットで探しても関連記事が見つからないので自分なりの考えを述べたいと思います.

それに先立ち,チャランゴという楽器の奏法を紹介します.次の動画を見れば一発です.


ERNESTO CAVOUR, EL VUELO DEL PICAFLOR

こちら,エルネスト・カブールというチャランゴの巨匠によるソロ演奏です.カブールはガチの世界一なので,聴いている途中で卒倒しそうな演奏となっていますが,なんとか耐えてください.大きく分けて二通りの奏法があります.

1.ストローク

複数の弦を同時に鳴らす奏法.「ジャラ~ン」って感じのイメージです.これぞ撥弦楽器!という感じの奏法ですが,チャランゴの場合は「かき鳴らし(トレモロ)」という楽しい奏法が存在します.動画の15秒あたりからやっているやつです.人差し指を素早く動かし,連続的に弦をかき鳴らしています.

こんなことやって痛くないのか,という感じですが,痛くありません.というのも,チャランゴの弦はナイロン製で,柔らかいのです.しかしナイロンだけでは柔らかすぎて,引っ張られると伸び切ってすぐに切れてしまいます.そのため炭やなにかしらの化合物を混ぜ,ある程度硬さをもたせてあるのですが,それでも金属弦に比べれば柔らかい.だから弦を素早く弾いても大丈夫なのです.

かき鳴らしは,チャランゴはかき鳴らすための楽器だといっても過言ではないほど重要な奏法です.フォルクローレではクラシックギターも使われますが,こちらもナイロン弦とはいえ,弦の幅が広すぎるためかき鳴らしが事実上不可能です.クラギはあくまで曲の土台としてしっかり支える楽器.そこにチャランゴが甲高いかき鳴らしを交えることで,伴奏がより豊かになるのです.

2.つま弾き

一本の弦を弾いてメロディーを奏でる奏法.これも誰しも思いつく奏法ですが,チャランゴの場合はなかなか大変です.というのも,チャランゴ調弦はギターやチェロと違い,低い順に並んでいるわけではないためです.単純に低い順に並んでいれば,音程の序列を単純に定められる(ドレミファソラシドの把握が容易)のですが,チャランゴ調弦が謎なので,慣れが必要です.

この利点としては,音程的に近い音(ドとレ,レとミ,など)を別々の弦で鳴らすことが容易なため,独特の響きを奏でられる点です.例えば「ドレミ」と弾きたいときは,第2コースの3フレットと第4コースの2フレットを押さえ,2→4→1コースの順で弾きます.弦が全て違うので,途切れることがありません.ギターなどでは隣り合う音を別の弦で弾くことは難しいため,どうしても音は途切れます.

高い単音たちの響き合いは美しい.日本の琴なんかも似たような趣があるように感じます.

 

これら二つの奏法が主ですが,それではチャランゴはなぜ複弦か?ということを考えてみます.

複弦の楽器自体は実はそれほど珍しいものではありません.誰もが知ってる「ピアノ」という楽器は複弦です.いやいやピアノは弦楽器じゃないだろ,と思うかもしれませんが,ピアノは実は内部では弦が張られていて,鍵盤をたたくと内部のハンマーが動いて弦を叩き,それによって音が鳴っているのです.複弦というのは,一つの鍵盤に対し複数の弦が貼られているということです.

さて,ピアノにおける複弦にはどのような働きがあるのでしょうか.まず単純に音量が大きくなること.そして実は弦が増えることで,音の減衰が遅くなるという性質があるそうです.要は,すぐに音が消えずしばらく響く,ということです.ピアノの美しい響きは複弦の賜物というわけです*2

いつの間にかピアノの話になってしまいました.チャランゴの話にもどりましょう.複弦の効力は音の減衰速度を遅くすることであると述べましたが,これがチャランゴにどのようなご利益を与えているのか.答えは簡単で,かき鳴らしやつま弾きに直接役立っています.もし音がすぐに減衰してしまえば,かき鳴らそうにも連続した響きを生み出すことはできないでしょう.和音がもっとぶつ切りに聞こえてしまうはずです.また,音が減衰せず残ってくれることで,つま弾きの響きもきれいに残ってくれるわけです.チャランゴの美しい響きは,まさに複弦であることに起因していたわけです.

 

小さいボディながらも多彩な表現能力を持つチャランゴ.非常に奥が深く難しい楽器ですが,今後も頑張って練習していきたいと思います.

 

次回は(今僕の財政を圧迫している)アコースティックギターを紹介します.アコギの魅力についてはもちろん,フォルクで使われるのはクラシックギターなのに,なぜアコギを買ったのか?という話や,同じ撥弦楽器チャランゴとの類似点・相違点なども交えて書く予定です.

*1:今回音楽分からない人には意味不明な説明が多いです.ごめんなさい.

*2:なお,ピアノには「ソフトペダル」というペダルが付いており,これを踏むとハンマー全体が真横にずれ,叩かれる弦の本数が減ります.これにより音量が弱まり,減衰速度が速まるため,音が柔らかく(ソフトに)なります.