振動人生記録 by gifdog97

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奇天烈音楽入門

この記事はISer Advent Calendar 2018の14日目として書かれました。昨日はるんおじさんによるでした。

 

18erのどーくんという者です。音楽が好きなので、音楽について書きます。

Advent Calendarですが、ここまでほぼ全員が情報科学に関することを書いており、完全に流れをぶった切ってしまいますが、直前になっても枠が余っていたので穴埋めとして書きます。お許し下さい。

 

元々タイトルは「偏愛的音楽入門」としようと思っていましたが、別に自分は何か偏ったジャンルが好きなわけではないので「奇天烈音楽入門」としました(いや、偏りがちではありますが、、)。

奇天烈というと普通とは違うみたいな意味合いがありますが、そもそも「普通」とは主観的なものであり、あくまで僕が奇天烈だと思っているものを述べるにすぎません(異国の民族からすれば日本のpopミュージックだってきっと奇天烈なものでしょう)。しかし、僕は宇宙一普通の感覚の持ち主なので(???)、きっと皆さんも奇天烈に感じるでしょう。

 

さて、奇天烈といってもいろいろな切り口があります。拍子、音程、曲展開などなど。とりあえず拍子なんかは絶対的なもので分かりやすいのでそこを切り口にしてみましょう。

 

初めは日本のバンドKensoの「月の位相 I」です。

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拍子というと、よく耳にするものは4/4や3/4がほとんどです。1,2,3,4とか1,2,3というように数えるとぴったり合うということです。ところがこの曲はその数え方をしてもはまりません。大雑把に言ってしまえば、これはいわゆる変拍子と呼ばれるものです。

Kensoはロックの流派の一つである「プログレ」というジャンルの音楽ですが、殊に変拍子の扱いがうまいです。冷静に数えてみると拍子はおかしいのですが、何も考えずに聞くと自然に耳に入ってきませんか?言うなれば自然な変拍子と言えます。

 

Kensoは日本のバンドですが、日本のプログレバンドは変拍子がかなり奇天烈な印象があります。実際のところ、日本の音楽というのは元々独特の拍子感覚を有しています。

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みんな知っている「あんたがたどこさ」も、全然4拍子とかじゃないんですね。この動画はまりで拍子をとっているので分かりやすいですね。だけど体に染みつくリズムです。

 

国が違えば感覚も違い、例えばイタリア地中海のプログレはこんな感じのリズムです。

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5拍子を主体に中間部では6拍子が現れます。Kensoと違うのは、途中で拍子がめまぐるしく変わったりしない点です。踊りとかと関連しているからなのかな、と思いましたが、踊りの関係した音楽全てがこのように一定のリズムなわけではありません*1

Farmers Marketはブルガリアの舞踏曲をロック風(?)にアレンジしたバンドで、こんな曲をやっています。

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Kensoより拍子の分かれ目が分かりやすいのが救いですが、目まぐるしく拍子が変わりリズムに乗るのが大変です(僕は何度も聴いて慣れてしまいました。大丈夫なのでしょうか。)。

 

いつの間にか民族音楽的アプローチになりつつあります。それではここで一旦拍子から離れて変わった音色の民族音楽を聴いてみましょう。南米の伝統的な音楽である「タルケアーダ」の一曲です。

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南米の民族音楽について話し始めると記事一つ分になるので、興味のある方はこちらを参照してください。このタルケアーダは結構現代的(?)で聞きやすい分類の気がしますが、ここで使われている「タルカ」という楽器は中毒性のある不思議な響きをしているなと思います。拍子感覚もまた違って面白かったりするわけですが、、。

 

変わった音色と言えば、見知った楽器を魔改造するという手法もあります。クラシック音楽作曲家 John Cage のプリペアドピアノが良い例です。

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プリペアドピアノとは、動画のように、ピアノの弦に粘土や釘、洗濯ばさみを挟んで音色を変化させたものです。何をしてんねんという感じですが、こうすることでピアノの可能性が広がったと言えます。実際の曲においては、譜面にどのようにプリペアするか明確な指示があるようです。

 

ピアノを魔改造した例は他にもあり、ロシアの作曲家 Wyschnegradsky は四分音ピアノというものを開発しました。その名の通り、現状のピアノの各音の真ん中に新たな音を追加したようなピアノです(1オクターブ=24音)。

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今までずっとドからシの12音で調性とか考えてきたのに何をしてくれてんねんという感じですが、これもまた音楽の可能性を広げる試みの一つと言えます。

 

ただ、12音だけでも調性のおかしい音楽は作れます(宇宙を調査する前に地球を調査してみても、不思議なことはまだまだ沢山あるわけです)。

クラシックが続いたのでもっとポップな音楽にしてみましょう。次の紹介するのは、Amoebic Ensembleという超マイナーなバンドの音楽です。

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彼らは使っている楽器もなかなか特殊ですが、何と言っても音の並びが奇妙です。これはいわゆる「十二音技法」と呼ばれる、12個の音をすべて平等に扱う音楽の一種です。普通の音楽には「調性」と言って音の並びにある程度のルールがあるのですが、それを全て取っ払ってやろうという試みです。

 

そんなことより食器みたいなものを叩いているおっさんが気になりますか?プリペアドピアノといいAmoebic Ensembleといい、楽器でないものを楽器としてしまう例は案外あるものです。こんなのはマイナーシーンだけかと思いきや、かつて日本で一斉を風靡したたまというバンドも似たようなことをしています。

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紅白に出演しているくらいなので、一つ上の世代は知っている人も多いみたいです。分かりづらいですが、彼らも桶や空き缶を打楽器として使っています。聴きやすさはありますが明らかに奇天烈で、これが人気の出た時代もあったのか、という気持ちになります(本当に素晴らしい音楽ですが)。

奇妙なものが常識になることもあり得るんですね。しかしバンドが有名になるか否かは、(悲しい哉、)やってる音楽のみに依存するわけではないので、四分音ピアノや爆裂変拍子現代日本の常識となる日も近いですね(絶対に来ないでしょう)。

 

なんか良い感じにオチがついちゃいそうなのでそろそろ終わりにします。最後にゴリ押しで僕が最も好きな曲を紹介して終わりたいと思います。僕は一番初めにはまった音楽がヘビーメタルなので、バリバリのメタルを紹介しておきたかったんですよね。

Unexpectというカナダのアヴァンギャルドメタルバンドの一曲です。

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拍子や音の並びがすごく異常なわけでもありませんが、曲展開や楽器の使い方が一般のメタルのそれと違いやはり奇天烈な一曲と言えます。それでいて単純にカッコ良い。奇天烈さと彼らの色と聴きやすさとを奇跡的なバランスで保っている珠玉の一曲だと思います。

 

そういう感じで僕の記事は以上です。書いてみると永久に書けてしまいそうで大変でした。興味を持たれた方は是非お話しましょう。

 

明日はMisterさんのWavelet Matrixです。つよそうですね。

 

*1:本当はここでStravinskyバレエ音楽春の祭典」を紹介したかったのですが、いかんせん曲が割と長い上、変拍子について書いている部分が多過ぎちゃうのでやめます(もっとも、この曲の魅力は拍子だけでは語り尽くせませんが)。神曲なので是非ともYouTubeで聞いてみてほしいです。